【2024年問題】ドライバー不足の現状から対策まで詳しく解説!
働き方改革関連法により、自動車運送業の労働環境を大きく変革せざるを得ない問題が『物流業界の2024年問題』として話題となっています。ドライバー不足が加速することが予想される物流の課題と今後の対策を当社R4のノウハウと共にお伝えします。
- 1. 物流業界の現状の課題は?
- 1.1. 2024年の法律改正による労働時間の削減
- 1.2. 2023年の時間外割増賃金率引上げ
- 1.3. トラックドライバーの人材不足
- 2. 深刻なドライバー不足の原因とは
- 2.1. トラックドライバーの労働条件
- 2.2. トラックドライバーの人材不足
- 2.3. ドライバーの高齢化
- 2.4. ドライバーの収入減少
- 3. 深刻になる前のドライバー不足の対策
- 3.1. 労働環境・労働条件の見直し
- 3.2. ドライバーの人材の確保
- 3.3. ⻑時間労働の削減
- 3.4. ドライバーの業務効率化
- 3.4.1. 中継輸送
- 3.4.2. システム・ツールの導入
- 4. トラックドライバー採用・定着ノウハウ
- 4.1. ドライバー定着ノウハウ
- 4.2. ドライバー採用ノウハウ
- 5. 物流業界における2024年問題とドライバー不足の解決策 まとめ
- 6. 【人の動き・採用トレンド】に関する他の記事
- 7. 採用ノウハウ・採用データに関連する記事
物流業界の現状の課題は?
2024年の法律改正による労働時間の削減
通常、従業員に1日8時間・週40時間を超える残業をさせる際は、必ず36協定を締結しなければいけません。さらに36協定を締結したとしても、原則として月45時間・年360時間を超える時間外労働はできません。それ以上の残業を依頼するためには「特別条項付きの36協定」を労使間で締結する必要があります。また、特別条項付きの36協定でも年720時間を超える残業は不可です。
※厚生労働省:36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針 https://www.mhlw.go.jp/content/000350731.pdf
しかし、現在ドライバーの残業時間は上限規定の対象外となっています。働き方改革関連法によって、2024年4月1日以降は「自動車運転の業務」に対し、年間の時間外労働時間の上限が、960時間に制限されます。1人当たりの労働時間が大きく制限されることにより、物流業界の人材不足、物流が滞る可能性が出てくると考えられます。当然それにより、今後さらにドライバー人材の確保が激化すると思われます。
2023年の時間外割増賃金率引上げ
2018年6月の労働基準法の改正により、時間外労働のうち1ヶ月60時間を超える場合は、割り増し賃金は50%以上と定められました。こちらは大企業のみに適用されており、中小企業への適用は猶予されておりましたが、2023年4月1日からは物流・運送業界を含む全ての事業場で適用となります。
引き上げ分の割り増し賃金を支払わない場合には、罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されることがありますので、就業規則の見直しが必要になる場合もあります。
こちらも影響が大きいと思いますので、物流業界の2024年問題よりも早く動く必要がありそうです。
トラックドライバーの人材不足
ネット通販などの普及により、市場規模は拡大しています。それにより宅配便の数が多くなるため、輸送やトラックへの積込み・荷降ろし作業が増えます。さらに配達先が不在だった場合は再配達する手間が増えます。
それにより長時間労働が慢性化して、トラックドライバーの労働環境が過酷となります。それが故に満足に人が集まらず、人材不足になっているのが現状です。
深刻なドライバー不足の原因とは
トラックドライバーの労働条件
厚生労働省の調査によるトラックドライバーの直近年間所得額の推移を見ますと、全産業平均と比較して大型トラック運転者の年間所得額は約43万円低く、中小型トラック運転者の年間所得額は約91万円低くなっています。
また、物流・輸送業界の年間労働時間は全産業と比較すると、大型トラックドライバーで約1.22倍、中小型トラックドライバーで約1.16倍となっており、どちらも長時間労働となっていることが分かります。
物流業界は低賃金・長時間労働ということが見て取れます。経営者側からすると、安い賃金で長時間の労働をしてもらえることは人件費を抑えられて良いのかもしれませ。しかし、長時間労働が慢性化していると十分な睡眠や休息が取れず、従業員の健康障害リストが高まります。働き改革が推進されている昨今、低賃金・長時間労働という状況は企業ージの悪化にもつながりかねないため、中長期的に見たときに、改善するポイントとなるでしょう。
トラックドライバーの人材不足
トラックドライバーの有効求人倍率は2.68倍となり、全産業と比較して1.36倍高く、採用難易度が高い事が伺えます。上記でもお伝えしたように、労働条件が厳しいことが影響しているかもしれません。
ドライバーの高齢化
運送業界で働く人のうち、約45.2%を40歳~54歳までの年齢が大半を占めており、全産業の34.7%と比較すると10.5ポイント高いです。若年層となる15歳~29歳は9.1%と全体の約10%以下となっております。このまま若年層の割合が低くドライバーの高齢化が進むと、物流業界のドライバーは深刻な人材不足となることでしょう。
ドライバーの収入減少
上記でもお伝えしたように、一人当たりの労働時間が短くなるので、トラックドライバーの収入が減少することとなります。物流業界のドライバーの年間所得額は全産業平均と比較して低いため、今後は時間外労働に上限が設けられることで残業代が減り、ドライバー一人当たりのさらなる収入低下が予想されるでしょう。そうなると、時間外労働をして高収入を得ていた人たちが離職を考える可能性も懸念されます。
深刻になる前のドライバー不足の対策
物流業界が2024年問題に向けて取り組むべき対策をご紹介します。この後に当社R4のノウハウもご紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
労働環境・労働条件の見直し
さらなるトラックドライバーを確保するために、求職者が働きたいと思う会社作りが大切です。若年層や女性の人材も確保していくために労働環境・労働条件の見直しを行いましょう。また、既に働いている社員が働きやすい環境を作る事も必要です。特に、収入低下によりドライバーの離職増加が懸念されます。給与体系の見直しを行い、社員の定着を強化させましょう。
【具体的な施策例】
・賃金の改定
・労働時間の見直し
・有給休暇の取得促進
・福利厚生制度の充実
・手当の充実
・運転が不安な方へ研修期間の延長
ドライバーの人材の確保
運送・物流業界の課題でもお伝えしましたが、トラックドライバーの高齢化と若年層の就業率が低いことから、人材確保に向けていち早く施策を打ちましょう。
若年層は自分自身や生活を大事にしながら成長したいと考えます。労働条件や職場の人間関係を重視する傾向がありますので、賃金、労働時間、年間休日などの労働条件を魅力的に整えて応募を増やしていきましょう。また、社内の人間関係も重視しますので、入社後の研修・OJT体制の整備や、定期的な面談を取り入れて信頼関係を築ける環境をつくることも大事です。
女性の場合は将来や家族のことを意識しながら仕事探しをする傾向があります。妊娠・出産・育児・介護と、家庭と両立できる環境整備が重要になります。時短勤務や育児介護休暇制度も導入して、将来も安心して働ける環境を整えましょう。
物流業界は男性の割合が多いとされているため、女性専用のロッカーを設置するなど女性に配慮した職場作りも大切です。
上記以外にも、今まで採用してこなかったターゲットや、ドライバーを選択できなかった人も採用できるように、柔軟で働きやすい労働環境を作ることが人材確保に向けて重要です。働き方改革に伴い、多様な働き方ができることが重要視されてきていますので、柔軟な働き方が実現できることで従業員のモチベーションも高まり、定着率が上がったり、企業の評価も高まることでしょう。
⻑時間労働の削減
時間外労働の上限規制により、ドライバー一人当たりの労働時間に制限が発生します。労働時間が短くなるという事は、走行距離が短くなる事とにも、長距離で物が運搬できなくなる事が懸念されます。その為、ドライバーの人材不足が懸念されます。
ドライバーの業務効率化
ドライバー一人当たりの労働時間が減少しますので、現在と同じ業務を保持するためにもドライバーの生産性向上も必要となります。
トラックドライバーは運転時間以外にも、待機時間や作業時間があります。業務の効率化や切り分けをすることでドライバーの負荷を減少していきましょう。
中継輸送
長時間労働になる原因の一つとして長距離輸送があります。長距離輸送による労働時間を短縮する取り組みが中継輸送です。中継輸送とは、長距離輸送を複数のドライバーで分担する輸送形態です。日帰り勤務が可能となることで一人当たりの労働時間の軽減や人手不足の緩和に繋がると方法として期待されています。国土交通省から中継輸送の取り組み事例が公開されていますので参考にしてみてはいかがでしょうか。
参考資料:国土交通省 中継輸送の取組事例集 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000103.html
システム・ツールの導入
ドライバーの長時間労働になるもう一つの原因は荷待ち時間です。これを解消するツールとしてトラック予約受付システムがあります。こちらを活用することでトラックドライバーの待機時間の削減や、荷主側の庫内作業の準備が可能となり、荷受け作業を効率化することが可能になります。荷主が導入するシステムとなるため、まだ導入していない荷主の場合は取り組みへの理解を得る事がポイントとなりそうです。全日本トラック協会より荷主向けのシステム導入提案資料がありますのでそちらもご活用ください。
参考資料:日本トラック協会 取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン http://www.mlit.go.jp/common/001259787.pdf
トラックドライバー採用・定着ノウハウ
当社R4がお手伝いしているドライバー採用や社員の定着に関する事例をご紹介します。
ここでは紹介しきれないノウハウもありますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。
ドライバー定着ノウハウ
有給休暇の取得促進による従業員定着の取り組み
愛知県/従業員数約20名/日勤のみ/地場の配送
元々、休暇申請・取得はできるものの、従業員が他の人と休みが被ってしまわないか気を遣ってしまい、休暇を取得しないことや、ドライバー特有の休みがとりにくい風潮があったので、それらを払拭することが課題でした。
具体的な取り組みとして、社内の誰もが見える位置にカレンダーの掲示板を作成して、各自休み希望日に印を付けて可視化しました。そうすることで、他の従業員が休暇を取得していることが分かるので自身の休暇申請の心的ハードルも下がり、休暇を取りやすい風土が作れています。また、可視化したことにより、従業員内で日程調整するなど配慮をして申請をすることもできております。
また、指定休と有給休暇を組み合わせて連休を取得することもできいることで、家族や友人と過ごす時間も増えて従業員の満足も高まり定着に繋がっています。
ドライバー採用ノウハウ
訴求ポイントを“選べる働き方”にしたことにより採用成功
愛知県三河エリア/従業員数100~200名/夜勤あり/東海三県内の配送
求人原稿1ヶ月掲載/応募数6名/採用決定数2名
配送の運ぶモノの案件が豊富にあるため、時間帯、トラックの種類(中型・大型・トレーラー)の幅が広い企業様。
求職者の希望に合わせて案件を割り振ることができるため、競合と差別化ができると考え訴求ポイントとすることに。給料重視の方は給料の希望に合わせた案件を、トラックの種類や運ぶモノの希望に合わせた案件を振り分けれることを原稿内に打ち出しました。
三河エリアは大手企業があるためドライバーの採用難易度が高いですが、競合と差別化した原稿で訴求したことで、多様な働き方を求める求職者に刺さり採用成功へと繋がりました。
ドライバーを採用するポイントはこちらの記事でもご紹介しています
物流業界における2024年問題と
ドライバー不足の解決策 まとめ
物流業界の2024年問題がすぐそこまで迫ってきました。
ドライバーが長時間労働できなくなることや、人件費の高騰により、物流業界の売上や利益が減少してしまう恐れがあります。まずは現状の課題を把握して、やるべき対策を行いましょう。
特にドライバーの人材不足が課題となる企業が多いと思います。競合企業も人材不足で悩まされる可能性が高いので、競合と差別化できる自社の魅力を発信していくことがドライバーの採用成功に繋がるポイントとなるでしょう。
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