採用ブランディング実践法│第4回「自社らしさの言語化」
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なぜ、ワンフレーズにまとめるのか?
ステップ2「情報収集」では、経営者インタビュー、キーパーソンインタビュー、社内アンケートなどから多くの情報を得ることができました。ただ、この段階では、情報は大量にあるもののそれらがまとまっていない状態です。このままだとメンバーによって情報収集の質や量が異なってしまい、自社に関する理解がバラバラになってしまいます。そこで、ワンフレーズにまとめるのです。
また、ワンフレーズで表した言葉は、自社らしさがグッと凝縮されたものになるはずです。自社らしさの〝本質の中の本質〟を表現するためにも、ワンフレーズにまとめることは有効です。では、どうまとめるのか。たとえば、ステップ2「情報収集」で得た情報にざっと目を通すだけで、自社らしさをワンフレーズで表現することができるでしょうか。よほどの天才じゃない限り不可能でしょう。天才じゃない場合は、段階的に進めていくしかありません。
自社らしさ言語化①「キーワードの抽出」
まずは、収集した情報=自社に関するさまざまな情報の中から共通項を探します。共通項は、言わば、複数の社員による自社に対する共通認識です。一個人の所感ではなく複数人が共通して感じることですので、それは自社らしさを表す要素と言えるはずです。収集した情報の中から、共通していると思われる単語やフレーズ(キーワード)を抜き出していきます。
最初は個人ワークです。採用ブランディングのプロジェクトメンバー各自でキーワードを書き出します。テキストで記録しておいたインタビュー内容や一覧化したアンケート結果を読みながら、それぞれに共通する言葉にマーカーなどで印をつけていきます。印をつけ終わったら、印をつけた言葉=キーワードを付箋に書き写します。
個人ワークが終了したら、グループワークに移ります。各自キーワードを書いた付箋を持ち寄って、それらをチームで共有します。ホワイトボードか模造紙を用意してください。手元にある付箋を共通のグループに分けて貼っていきます。全員分が貼り終わったら、ホワイトボード(模造紙)全体を眺めてみましょう。一字一句まったく同じ言葉があったら、一枚だけを残して他は捨ててください。また、グループ分けが適切かどうかも確認していきましょう。必要に応じて付箋を移動させたり、既にあるグループを二つに分けたり、新たなグループをつくったりなど、チームで話し合いながら整理をしていきます。
自社らしさ言語化②「キーワードのまとめ」
自社らしさを表すキーワードを整理することはできました。ですが、どんな会社でも、キーワードの数が膨大になると思われます。複数の単語をワンフレーズで表現しようとする場合、単語の数が少ないほうがカンタンですよね。そこで、自社らしさをワンフレーズで表現しやすくするために、たくさんのキーワードをコンパクトにまとめる作業を行います。採用ブランディングは長期戦。先を急がずに、段階的に進めていきましょう。
やり方は簡単です。ホワイトボード(模造紙)に展開されている付箋のまとまり=それぞれのグループにグループ名をつけるだけです。そのグループ(に集まったキーワード群)が何を意味するのか、端的な言葉で表現するのです。グループ名をつけたら、そのグループ名に解説文をつけておくといいでしょう。それぞれのグループが自社のどんな特徴を表しているのか確認することができます。こうして、グループ名にまとめることで、言葉の数を一気に減らすことができます。
自社らしさ言語化③「フレーズ作成」
ここまで来れば、自社らしさの言語化は難しくありません。整理された情報を組み合わせていけばいいのです。きちんと組み合わせることができれば、自社らしさを表す言葉が完成します。日本語として美しいフレーズに整える必要はありません。ここでつくる言葉は、自分たちが「自社らしさ」を理解、納得するためのものに過ぎません。字面がキレイじゃなくても、言葉として響きがよくなくても問題ありません。意味がわかれば大丈夫です。
しかし、自社らしさを表す要素は多岐にわたります。なかには性質が異なる要素もあるので、すべてを一つのフレーズにまとめるのは困難です。そこで、自社らしさを表すフレーズを2つつくります。具体的に言うと「スキル」を表すフレーズと「マインド」を表すフレーズの2つです。「スキル」は事業、商品やサービス、技術。「マインド」は、企業の精神や風土、文化と考えてください。自社を「スキル」「マインド」の2つで表現すれば、無理なく言語化が行えます。
まずはグループ名を一覧化しましょう。続いて、「スキル」「マインド」それぞれに振り分けていきます。どちらとも言えるようなものはどちらでも構いません。どちらも間違いではないからです。チームで話し合って、より相応しいと思うほうをチョイスします。
振り分けが済んだら、あとは単語を組み合わせるだけです。単語数が少なければ、すべての単語を使用しても無理なく組み合わせることができます。単語数が多い場合は特に重要なものに絞ってフレーズにまとめるといいでしょう。お伝えしたとおり、美しいフレーズに整える必要はありません。社外に開示するものではありませんし、自分たちが理解、納得できるものであれば大丈夫です。破綻のないように組み合わせて、一続きのフレーズに仕立てます。
これにて、自社らしさの言語化が完了です。この段階で、チームに最初の達成感がもたらされます。採用ブランディングの成功へ向かって、全員のギアが一段上がる瞬間です。次回は、これまた重要なステップである「採用ターゲットの設定」を取り上げます。
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この記事のライター
毛利大一郎/株式会社R4 制作部 事業部長 ブランド・マネージャー
愛知県名古屋市生まれ。早稲田大学 第一文学部卒。クリエイティブ・ディレクターとして、求人広告やパンフレットの他、映像、ウェブサイトから社史、CI/VIにいたるまで、さまざまな企業広告・広報物の企画・制作を手がける。手がけた社数は愛知県・岐阜県の企業を中心に200社を超える。 また、これまでにインタビューをした人数は約2000人に及ぶ。◆その他著書:『仕事にやりがいを感じている人の働き方、考え方、生き方。』(幻冬舎)
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