アイカ工業株式会社 様|経営者・人事インタビュー

数ある採用支援会社の中から、なぜR4が選ばれるのか。その理由を、企業の人事・採用ご担当者様へのインタビューを通じて明らかにしていくシリーズです。今回のゲストは、化成品および建装建材メーカーとして知られる東証プライム・名証プレミア上場企業、アイカ工業株式会社の人事部 リーダー・石川 剛史様(写真 右側)と、同じく人事部の秋田 桃子様(写真 左側)。海外での売上高が全体の49.2%を占める(2022年3月末時点)グローバルなものづくり企業は、毎年20名以上の新卒採用をどのように成功させているのか。その裏側に触れると共に、上場企業ならではの人事ミッションや、同社の今後の展望についてもお話し頂きました。

インタビュアー/R4サービスサイト編集部 専属ライター

企業について

法人名:アイカ工業株式会社
本社:愛知県名古屋市中村区
従業員数:4,949 名 (2022年3月末 時点 ※連結)
公式Webサイト:https://www.aica.co.jp

採用担当、わずか3名。それでもR4がいれば大丈夫

M&Aでグローバル企業に。学生の反応も変わりました

――まずは、石川様(写真 右側)にお話を伺います。R4と御社との取引は、もう20年近くになるそうですね。

はい。主に新卒採用の領域で、2004年からお世話になっていると聞いています。僕の上長は「うちの採用の歴史をよく知っていて、長く支えてもらっているんだぞ!」なんて言っていたほどですし、お付き合いの濃いパートナーさんという認識です。

――新卒採用は御社の組織戦略の中でも、特に注力されている分野なんでしょうか?

組織づくりに限ったことではありませんが、弊社の事業活動は常に10~20年先を見越して動いています。全社で共有している『10年ビジョン』というものがありまして、各部門の今の仕事が、10年先、20年先に向けた投資になるよう設計されているんです。

――10年先といえばまさに、新卒で入社された方が、各部門のコアメンバーへと成長されている頃ですね。

その通りです。新しく入社される方が、この先10年間でどのくらい成長されるか…という観点から考えると、やはり優秀な若年層をコンスタントに採用していく必要があります。

弊社が考える “優秀な人材” というのは、自ら考え、行動し、結果を出せる “自立型人材” のことです。この定義はもう20年以上変わっていなくて、アイカ工業の選考基準の柱になっているんです。例え失敗したとしても、チャレンジする姿勢が評価される社風です。

―― “自立型人材” という言葉は近年、「組織に求められる人材要件」として目にする機会も多いですが、御社では20年前から重視されていたんですね。

そうなんです。弊社は『挑戦と創造』という社是を大事にしていまして、挑戦を繰り返すことで発展してきた歴史を持っています。近年で大きかった挑戦は、フィンランドの接着剤メーカーであるダイネア・ケミカルズの、アジア太平洋部門の子会社を買収したことでしょうか。2012年の決断でしたが、これにより連結売上高は従来の約2倍に伸び、2,000億円規模の企業となりました。

――会社の歴史に残る、インパクトのある変化ですね。

この買収で弊社は一気に、 “外向きの会社” へ変わったと思います。人事戦略においても目に見える変化として、英語スキルの高い人材や外国籍の方の採用活動に注力し始めました。よりグローバルな視点で、物事を考えられる組織にしていかなければいけませんからね。

そしてダイネア社の買収と、社内メンバーの多様化の二次的効果として、学生さんからのイメージも変化したと感じています。ちょうどその頃から、新卒者のエントリー数がぐっと増えたんですよ。「世界を相手にビジネスをおこなう視野の広い会社」として、認識されるようになったのかなと考えています。

組織課題は経営課題。解消しなければ、信用されません

――ところで、御社のホームページは、内容が非常に充実していますよね。人事関連の情報についても、研修制度の詳細や女性管理職の割合など、就活中の学生さんが気にされるリアルな情報が公開されていると感じます。これはやはり、意識的に行っているのでしょうか?

意識してというよりは、需要があるから公開している、という表現が近いかもしれません。お客様や学生さんに弊社のことをお伝えするというニーズは勿論ですが、実は経営部門からも、組織の状況をできる限りオープンにしてほしいと要望されているんです。

経営部門が意識しているのは、株主の皆様に対し、誠実であることですね。人材の採用・定着・戦力化といった人事課題は経営課題である…という認識を、ステークホルダーの皆様もお持ちです。縁あって入社してくださる皆さんに、どう活躍して頂くかという具体ルートを示せる組織が、この先の社会では信用を得ていくのかなと感じています。人事はどうしてもクローズな部分が出てきてしまう領域ですが、それでも可能な限り情報公開をしていこうとは考えています。

――なるほど、そういった上場企業ならではの背景があってのことだったんですね。加えて、法改正の影響もおありでしょうか。例えば、男性育休の取得率などは、施行に先んじて取得率の開示に踏み切られる企業様も多いと感じています。

その通りですね。ただ、義務化されるから開示する…という後手後手の対応では、いつか法改正にも追いつけなくなってしまうのかなと。ルールが変わるより前に積極的に伝えていくぐらいのスタンスでいられたらと思っていますし、伝えることがプラス評価に繋がるような組織をつくっていくのが、僕たちの仕事ですから。

――一方で、情報公開をしようとしても、御社のような従業員規模の会社で常に、組織の最新情報を伝えていくのは大変そうな気もしますが…。

そうなんですよ!例えば、男性育休の取得率を毎月算出するためには、弊社の男性社員のうち、育休の取得対象となる人が何人いて、そのうち何人が実際に取得しているかを随時調べられるシステムが必要なんです。そのために今、人事データベースについてもDXを推進していまして、来年の春ごろにはひと通り体制が整うかなという見込みです。

安心して任せられるから、新たな挑戦に踏み切れる

――先ほど、 “優秀な人材” の定義についてお伺いしましたが、今後も “優秀な人材” を採用していくために、御社がいま挑戦されていることはおありでしょうか?

現在は、外国人留学生の採用をより積極的に進めています。これもコーポレートサイト上で明言していることですが、今後はグローバルに活躍できる人材を獲得し、育成していく目的で、新卒採用者の1割を外国籍の方にしていく予定です。

――グローバル人材を、継続的かつ集中的に採用していくのは、難易度が高そうですね。現状はどういった手法をご利用なのでしょう?

留学生さんの就職支援に特化した人材紹介会社さんとの協働や、スカウト型サービスを利用して接点を作っています。ありがたいことに、今のところ反響は上々です。

ただ、将来的にはこれだけでは足りなくなるのでは…とも感じています。優秀な留学生さんは引く手数多でしょうから、そういう時が来たらまた新たな手法を開拓していかなければいけませんね。

――御社ほどのネームバリューがあれば十分戦えそうな気もしますが、そういった見立てでは甘いのでしょうか…?

採用に困らずに済むなら、それは勿論ありがたいことです。ただ、弊社は「次は3,000億円企業を目指す」という目標を抱えておりますので、それを考慮するともう一段、アグレッシブに動かないといけないだろうなとも考えています。

それに、知名度が上がるにつれ、関東圏・関西圏の同業他社様とも比較されるようになってきたんです。超有名企業の中ではまだまだ、戦い切るのは難しい。そんな時すぐに “攻め” の姿勢に転じるためには、次にお話しさせて頂く秋田や、秋田が頼りにしているR4のアウトソーシング部門の皆様に、しっかりとした “守り” をお願いしたい。そういった意図もあって、僕らは自社の動向をいつもいつも、R4さんに共有させて頂いているんです。

――なるほど。言うなれば『社外人事部』としてご活用くださっていると。

おっしゃる通りです。「秋田とR4さんに任せておけば大丈夫」と、全幅の信頼を置いているからこそ、僕は自身の役割に徹することができています。今後も引き続き、弊社人事部をサポートして頂ければと思います。

全国を飛び回る採用担当を、支えてもらっています

――ここからは、秋田様にお話を伺います。まず、御社が注力されているという新卒採用に関してですが、募集される職種やエリアは多岐に亘るそうですね。

はい。コンスタントに募集しているのは、文系営業・理系営業(技術営業)・化学系研究職の3職種です。配属先は、営業系だと東名阪・福岡を含む全国各地、研究職だと愛知県・兵庫県もしくは、関東圏・東北圏の研究開発拠点になります。このほか、数年に一度募集する職種として、機電系エンジニア・情報系エンジニア・デザイン系職種などがあります。人事部内では「レア職種」と呼んでいて、採用に苦しむケースが多いポジションですね。

――全国規模での複数職種の採用となると、人事部の皆様の負担は相当なものになりそうですね。

そうですね…助け合いながら進めていますが、簡単ではないと感じています。

人事部には現在、十数名の社員が在籍していまして、採用にはそのうち3名が携わっています。ただ、採用業務専任のメンバーは居ないんです。3名とも全員、採用以外にも役割を担っています。だから、どうしても毎日慌ただしくて…。

例えば、お付き合いのある大学さんで学内セミナーがおこなわれるとなれば、段取りをして、スピーチ内容を決めて、プレゼン用の資料を作って、当日行って話して、帰ってくるまでがその人の仕事です。募集の職種毎にスピーチ内容も工夫していますから、ここにもパワーが掛かります。

――なるほど。採用活動で肝になる “学生さんとの接点創造” に集中する意味でも、R4のアウトソーシング部門を頼ってくださっているんですね。

本当に助かっています。活動期はほぼ毎日、アウトソーシング部門の担当さんと電話で打ち合わせをさせて頂くんですが、何をお願いしても精緻でスピーディーなので、全面的に信頼しています。

最後の最後で入社決定。プロの底力を実感しました

――R4と連携しての採用活動の中で、印象に残っているエピソードはおありでしょうか?

まさに今年…というか、つい最近のことですね。2023年4月に入社される、理系営業の採用で苦しんでいたんです。元々採用の難しいポジションなので、昨年の秋から早期に活動し、3回に分けて募集を出したんですが、3回とも内定辞退という結果に終わっていまして…。

あの時は、私も真っ青でした。募集のチャンスは残り1回。何としてもその1回で、採用を成功させなければいけません。とはいえ、一体どうしたらエントリー獲得に繋がるのか…。私では考え切れなくて、困り果ててしまって。

――募集活動も後半戦となると、「エントリーを増やす」ということ自体、かなり難しくなってきますよね。

そうなんです。どうやったら学生さんに会えるのか、アイデアを練る段階からR4さんにお任せしてしまいました。そうしたら、次々と打ち手を考えてくださったんです。中でも印象的だったのは、web説明会動画を閲覧するためのURLリンクの、設置位置についてのアドバイスでした。ナビサイトを見る学生さんの視線の動きを考慮して、マイページのここに出るように貼りましょうとか、メッセージのこの部分にも貼りませんかとか…。とにかく学生さんに気付いてもらえるよう、あらゆる手立てを考えてくださったんです。

――ナビサイトを毎日操作している立場だからこそ、ご提案できたアイデアかもしれませんね。

そうですよね。学生側の視点に立った提案が流石だなと思いましたし、私では絶対に思いつかなかった手法です。この工夫のおかげで、4回目の募集でやっと内定承諾にたどり着いたんですよ!今回R4さんに助けて頂いて、小さな工夫一つひとつの積み重ねが、大きなご縁に繋がっていくんだということを再認識できました。採用の専門家ならではの、底力を見せて頂いた気がします。

人事仲間にも紹介できる。そのくらい信用しています

――アウトソーシング部門の担当とは毎日のように電話されるとのことでしたが、具体的にはどんな会話をされているのでしょう?

本当に色々ですね。お電話を頂く際は、リマインドコールも多いです。例えばインターンシップをするなら、このくらいまでにプログラムの内容を決めてくださいね、この日までに募集画面に反映する内容を教えてくださいね、みたいな…。

本当はこんなに、一から十まで頼りっぱなしではいけないのかもしれませんが、私たちの業務状況を察して動いてくださっているのかなと思っています。ヌケモレが生じないよう、タスクやスケジュールの管理まで担ってくださって…。本当に、頭が上がりません。

それから、そういう事務的なお電話の際に、ちょっとした情報を頂けるのも嬉しいんです。今年の学生さんの動きのスピード感ですとか、『アイカ工業』という名前を覚えて頂くための、学生さんとのコミュニケーションのコツですとか。こちらからお願いしたことに応えて頂くという最低限の対応じゃなくて、プラスアルファでノウハウを分けてくださる姿勢に、いつも感動しています。

――正確な仕事に終始するだけでなく、親身なサポートがあるんですね。お忙しい採用担当者さんにとっては、心強いですね。

そうですね。選考が始まってからも、忙しさはあまり変わらないもので…。

自社の人間が申し上げるのは恐縮ですが、アイカ工業の選考って多分、丁寧なんです。すべてを0か1かでふるい分けるデジタルジャッジじゃなくて、お一人お一人と向き合うことを大事にしているものですから。例えば、「エントリーシートでのPRはちょっと頼りなかったけど、面接でお話ししてみた印象がすごく魅力的だった」とか、「この方はスコア上すごく優秀だけど、入社後のこの業務はすごく苦しんでしまうかもしれない」とか、そういう会話を部内で何度も重ねたうえで結論を出しています。

――それは…とても丁寧ですが、同時に、相当なご負担かとお察しします。

自分たちの負担がどうこう…というよりは、お待たせしてしまう学生さんに申し訳なく感じてしまいますね。どうしても判断が難しいケースについては、いったん保留にして、部内メンバーで時間をとって話し合いをおこなったりもします。そんな経緯もあって、最終結果をまとめるのに時間が掛かってしまって…。そうしている間に、当初予定していたスケジュール通りにいかないことも出てきてしまうんです。それでも担当さんは「何とかします!」と、迅速に動いてくださるので助かっています。

――必須業務へ正確に対応することは勿論ですが、普段から何でも相談できて、困った時にも頼れるという関係でいることも、採用業務のパートナー選びには大切ですよね。

本当に、そう思います。実は過去に一度だけ、他社さんへの委託をお願いした年があったんです。その頃はどうしても、費用面で削減が必要だったもので…。ただその会社さんは、弊社の採用業務の複雑さにご対応頂けなかったようで、ミスが頻発しました。確かに費用面では優位性がありましたが、結果としては、R4の皆さんのお力を再認識するに至りましたね。学生さんからの信頼が一番ですから、そこからは浮気せずお付き合いさせて頂いています。

――金額に見合う価値を提供できている…ということで、宜しいでしょうか?

勿論です。今も毎日のように、「これ、どうしましょう?」「こういう対応で良かったんでしょうか?」なんて相談ばかりしていますが、自分たちだけでは自信が持てない判断も、担当さんに「こうしましょう!」「大丈夫ですよ!」と一言頂けるだけで、すごく救われるんです。単なるサービスの提供だけでなく、人対人という関係性の中で支えて頂いていると感じます。

――そういったご体感もあって、別のお客様までご紹介くださったんですね。

そうなんです!実は以前から、ある大手企業の人事さんと親交がありまして、そちらの採用担当の方も私たちと同じような悩みをお持ちだったんです。それで「うちがお願いしているR4さんに頼んでみてはどう?」とお名前を出させて頂きました。

その企業様も愛知県内に本社を置くメーカーさんということで、採用という舞台ではライバルになるんですが、同じ人事担当だからこそ苦しみが解るんです。R4さんにお願いできることになったと聞いて、私も安心できました。

新人さんの成長が喜び。だからこそ、安心して通える職場に

――そうした丁寧な選考をおこなわれている御社の中でも、特に『新卒採用』の成果や、インパクトを感じられた出来事はありますか?

採用させて頂いた方お一人おひとりに思い入れはありますが、インパクトという意味で大きかったのは、ベトナムから日本の大学へ留学に来ていた男子学生さんでした。先ほどお話しした「レア職種」の一つである「機電系エンジニア」として入社されて、彼が2年目の時、ちょうどベトナム国内へ工場を新設することになったんですが、その際に立ち上げメンバーとして “里帰り” を果たされたんです。

――入社2年目にして、そんな大役を務められたんですか?

そうなんです。本当に優秀な方だったので、配属先で「任せてみよう」となったそうです。現地へ渡られてからは、工場へ導入する設備の選定も、現地スタッフとのコミュニケーションも、国内拠点との橋渡し役も担ってくれて…。稼働開始に大きく貢献してくれましたし、今も向こうで大活躍していると聞いています。

――そんなに優秀な方とのご縁が…。まさに、会社の命運を変えるような出会いでしたね。

彼は活躍が特に早かった人材ですが、最終的にはご自身の才能を、きちんと開花させられる方が多いです。ただ、そこに至るまでの時間には個人差があります。ですから新人の皆さんに対してはまず、アイカ工業を、心理的安全性の高い職場として認識してもらい、自身の才能を発揮することに集中してもらえるよう工夫しています。

例えば、入社2年目までのメンバーには毎月、メンタル面を含む健康チェックを実施しています。ちゃんと眠れていますかとか、気掛かりなことはありませんかとか…。その結果で気になる点があれば、すぐに上長を含むサポート役が動いて、面談等でフォローできる体制を整えています。

――新人さんをどう守っていくかが、きちんと仕組み化されているんですね。

まだまだ発展途上ですが、小さなSOSを見逃さないようにという意識は、少しずつ醸成されてきていると思います。これは体感になりますが、入社から独り立ちを経て仕事を楽しめるようになるまでは、3~4年くらい必要なのかなと…。なので、少なくともそのステージに至るまでの間は “お世話焼き” でいてあげたいと思っています。

――業務がお忙しい中でも、ご縁があって入社された方をケアしていくという姿勢、素敵だと思います。秋田様をそこまで突き動かす、力の源のようなものは何なのでしょうか?

私としては、新人さんの活躍が純粋に嬉しいんですよね。「新しく配属になったあの子、スゴいよ」なんて噂を聞いたり、研修で久しぶりに本社へ来てくれた子が立派になっているのを見たりすると、ああ、本当に良かったなあって思うんです。

――秋田様に支えて頂ける新人さんは、幸せだと思います。

そんな、まだまだですよ。でも、学校を卒業してからの2~3年って、人生の中でもかなり大きく成長できる時期だと私は思うんです。そのタイミングに立ち会える数少ない人間として、できる限りのサポートはしていきたいと考えています。

――関わる方お一人おひとりを本当に大切にされている組織だということが、とても伝わってきました。本日は、皆様の想いをたくさん聞かせて頂き、ありがとうございました。

今後もたくさんの出会いをつくるために、R4さんと密に連携していければと考えています。そして『10年ビジョン』の実現に向けて、繋がり方をもう一段深めながら、一緒に歩んで頂けますことを期待しています。


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