少子高齢化は採用に影響する?人口推移から読み解く、今後の採用の在り方

少子高齢化の影響は?国内の人口推移から読み解く、今後の採用の在り方

この記事では国内人口の推移から見えてくる、今後の採用の在り方に関してお伝えしていきます。なお、本記事では公的機関が発表しているデータを基に話を展開していきますが、あくまでも筆者個人の見解です。「未来がどうなるか」は誰にも分かりませんので、あくまでも参考にしていただければ幸いです。また「データ自体が正確か」という議論もあるかと思いますが、引用するデータは全て「正確である」という前提で展開させていただきます。

国内の人口推移と、採用の関係性

まず、国内の人口がどう推移していくのか。「日本は少子高齢化が進んでいる」という事実は、おそらく多くの方が認識しているでしょう。しかし具体的にデータで見たことのない方もいらっしゃるかと思いますのでご紹介します。

本データは内閣府が公式に発表しているデータです。2010年の1億2800万人をピークに人口が減っているのが分かり、2025年1億2200万人、2035年1億1500万人、2065年には8800万人まで減ることが予測されています。こちらは2019年に発表されたデータですが、2021年現在の人口が1億2500万人であることから、大きな乖離はないように思います。また、グラフ上で分類されている年代別のデータをご覧いただけば一目瞭然ですが、65歳以上の人口比率が増加し続ける一方、65歳以下の人口比率は減少を続けています。人口構造の変化に伴い「就業人口も減っている」ことから「今後の採用は難しくなる」ことは明らかです。もちろん、企業の業種・規模・知名度、職種によって多少異なるとは思いますが、決して楽観視はできません。

国内の人口推移から見る、採用職種の変化

国内の人口推移が減少に転じることで、採用職種はどう変化するのでしょうか(ここからは全て筆者個人の見解になります)。実感されている方もいらっしゃると思いますが「IT・デジタル系職種」の採用ニーズは間違いなく増えるでしょう。新型コロナウイルスの影響で「IT・デジタル化が大きく進んでいる」という背景もあります。IT・デジタルに縁のなかった業種の企業がSEやプログラマーを自社で採用するケースも増えており、同職種の採用ニーズは今後しばらく続くと見られています。高齢化が進むため、医療・介護系職種の採用ニーズが増えるのも間違いないでしょう。

一方、定型作業をする職種の採用ニーズは減っていくと思われます。オックスフォード大学の調査結果「消える職業」でも話題になりましたが事務職などの採用ニーズは年々減っていくに違いありません。背景には機械学習や画像解析技術の向上、RPA/Robotic process automationの普及があります(一般的にAIと言われる領域です)。プログラミング言語Pythonの普及などによって機械学習や画像解析の精度は年々驚くほど進化し、かつ、一般的になりつつあります。2020年9月、Microsoftが発表したPower Automate Desktopの登場によりプログラマーでなくとも一定知識があればRPAを開発できるようになったのも大きな変化です。機械学習・画像解析・RPAがどの程度普及するかにもよりますが、「プログラムで代替される可能性が大きい職種」の採用ニーズは、ほぼ間違いなく減っていくでしょう。

人口推移より、採用企業が気を付けるべきポイント

国内の人口推移が減少することから、当然採用難易度は上がっていくでしょう。そこでより気を付けるべきは以下の2点ではないかと考えています。

国内の人口減少に伴い、採用企業が気を付けるべきポイント①

国内の人口推移が減少するのに伴い採用企業が気を付けるべきポイントひとつめは「情報の質を高めること」。2021年現在、少しずつ変化していますが「どんな仕事をするのか」具体的に明記されている募集要項は少ないように思います。どんな人と関わるのか、どんな製品サービスに携わるのか、どんな場所で働くのか、どんな人たちと働くのか、どれ位の期間で仕事を完結させるのか、どれ位の金額規模に携わるのか…。仕事内容をいかに詳しく書いているかは、間違いなく重要なポイントです。併せて「求める職能要件」も明確にすること。全くの未経験でも本当にいいのか、どんな業界・どんな仕事の経験が・何年あればいいのか、どんな知識が必要なのか、どんなツールが使えればいいのか、どんな資格があると活かせるのか…。職能要件を明記することはターゲットを明確にすることに繋がりマッチング精度を向上させます。「詳しく書きすぎると読まれないのでは?」と仰る方もいらっしゃいますが、転職意欲の高い人ほど情報量と質を重視する傾向にあります。仕事内容や職能要件を例に挙げましたが、募集要項を詳しく書くことは今後採用する企業が気を付けるべきポイントであることは間違いないでしょう。

国内の人口減少に伴い、採用企業が気を付けるべきポイント

国内の人口推移が減少するのに伴い採用企業が気を付けるべきポイントふたつめは「社内のITリテラシーを高めること」。これはIT・デジタル人材を採用する場合に限ります。先述した通り、IT・デジタルに縁のなかった業種の企業がSEやプログラマーを自社で採用するケースも増えています。一方で「採用したもののSE・プログラマーの業務内容が理解できず採用したSEが離職してしまった」「何を基準に採用すればいいのか分からない」という採用担当者の声を聞く機会が増えています。IT・デジタル化推進のために「IT系職種を採用する」のは重要ですが、それ以前に社内のITリテラシーを向上させる方が不可欠ではないかと筆者は考えています。

人口推移が減少すると、採用の在り方は変わる

国内の人口推移が減少することで、今後の採用の在り方は大きく変化していくでしょう。採用できないが故に事業を存続できない企業が、より一層出てくるでしょう。業種や職種によっては厳しい戦いを強いられるケースもあるでしょう。しかし、情報の質を高めたり、ITリテラシーを上げることで状況を変えることはできます。未来がどうなるか誰にも予測はできませんが、人口減少に備えて少しずつでも準備を始めるのが得策ではないかと筆者は考えています。

この記事を書いた人

萩原 雄樹 / 制作 / 上級ウェブ解析士

自分の創った制作物を見るであろう人が欲している情報は、何か。クライアントである企業ですら分かっていない場合もあります。それを見い出し、見る人の心を動かす。ここに自分の価値があると思っています。押忍。

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